これまでに得られている主な成果
日本語5母音の声道形状をできる限りそのまま適用した声道モデル(図1参照)と,声道横断面のだ円近似,および声道の曲がりの省略という簡略化を施した近似モデル(図2参照)の音響特性を3次元の有限要素法を用いて求めた。これらの結果の比較により声道形状の簡略化の影響,及び声道壁を剛壁と仮定した場合の影響について検討した。この結果,これらの簡略化したモデルが基準としたモデルの近似として有効と考えられるのは,第3ホルマント周波数程度までとなった(図3参照)。また,声道壁を剛壁とした場合,声道伝達特性に高次モードによる鋭いピークと零点が3
kHz前後から出現するが,声道壁を軟らかい壁とした場合、音波は平面波的に伝搬し(図4参照)、これらのピークと零点の発生が抑えられることが示された。
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図2: 簡略化を施された声道形状の有 限要素メッシュ。上段はオリジナルモデルから曲がりを省略したモデル、中断
はオリジナルモデルの各横断面をだ円で近似したモデル、下段はオリジナルモ デルの各横断面をだ円で近似し、さらに曲がりを省略したモデルである。
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図3: 各モデルの声道伝達特性。声道 壁は剛壁である。黒線はオリジナルモデルの、赤線はオリジナルから曲がりを
省略したモデルの、緑線はオリジナルモデルの各横断面をだ円で近似したモデ ルの、青線はオリジナルモデルの各横断面をだ円で近似し、さらに曲がりを省
略したモデルの伝達特性である。
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/a/ (3654 Hz) |
/i/ (4591 Hz) |
/u/ (2825 Hz) |
/e/ (3516 Hz) |
/o/ (3938 Hz) |
rigid wall |
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soft wall |
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図3:剛壁、あるいは軟らかい壁を持つオリジナル内の相対的な音圧分布。駆動う周波数は/a/、/i/、/u/、/e/および/o/に対して、それぞれ3654
Hz、4591 Hz、2825 Hz、3516 Hz、および 3938 Hzである。等高線の目盛はdBである。 |
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